無線機/トランシーバーとは

「無線機」とは、無線通信を行うための機器のことで、その機能によって「受信機」「送信機」と分類されます。受信・送信双方が可能なものを「トランシーバー」と呼びます。

日本の電波法では“受信のみを目的とするものを含まない”と定義しており(第二条第五号但し書き)、テレビやラジオは無線機の定義からは除外されています。一般的には「無線機」という言葉がそのまま「トランシーバー」の意味で使われています。

ここでは、無線機のうち持ち運びができるもの(ハンディ機、携帯機)について解説します。

無線機を利用すると何が出来るの?

無線機を利用すると、一度に多数の人へ通信が出来ます。

無線機の一番の利点は、なんといっても1対多の通信が出来ること。
スマートフォンではアプリ上でグループを作成し、特定の人を追加し、発信に対して応答が必要になりますが、無線機はボタン一つで一斉発信が出来るため、情報の連携に最適です。
無線機は担当チャンネル(グループ)を決めておけばワンタッチで切り替えることが出来、音声もボタン一つで発信することが可能です。
多数の人と情報を連携する必要がある場合は、電話よりも無線機の方が適しています。

無線機のレンタルについて 携帯・スマホを利用していると基本的に1対1の連絡になります
無線機のレンタルについて 無線機はチャンネルで管理をしているので1対多の複数人への情報共有に適しています。

無線機・トランシーバーの通信距離について

無線機は種類によって通信距離が異なります。

◆特定小電力無線機 通信距離 ~200m

◆簡易無線機 通信距離 ~5km

◆IP無線機 通信距離 ~日本全国

無線機には様々なタイプがありますが、実際に使用する時に特に重要となるのが通信距離。無線機は機器ごとに通信距離が異なります。

無線機は基本的に、無線機本体から電波を発信し、その電波が届く範囲にある、同じ周波数の無線機と通信を行うことが出来ます。この時、本体から発せられる電波の強さ(出力)がタイプ別に異なるため、通信距離も異なります。

携帯電話やスマートフォンと同じく、各キャリアの形態通信網を利用したIP無線も活躍しています。IP無線機なら各キャリアの電波が受信できる場所ならどことでも通信が出来るので、東京と大阪、北海道と沖縄など、広域での通信を行う事が出来ます。一部の機器では電話のように音声のやり取りができる双方向通信が可能です。

また、電波の届き方は環境により異なります。見通しの良い屋外と、大勢の人が行き交う屋内とでは通信可能距離が変わってきます。障害物が多ければ電波も届きにくくなります。
各メーカーが表示している通信距離は見通しの良い場所で通信をした場合の距離を記載しています。例えば”見通し5km”とは、建物などの障害物が何もない見通しの良い環境で通信をした場合の距離です。

STJレンテックでは、事前に無料のデモ機をご利用頂けますので、本番でご利用になる前に現地における通信状況のご確認が可能です。 

無線機・トランシーバーの主な利用シーン

お客様のご利用用途やご利用場所・環境によっても適した無線機は変わります。
何を選べばいいのか分からないというときは無線機・トランシーバーのプロであるSTJレンテックにお任せください。細やかなヒヤリングを行い、お客様に最適な無線機とプランをご提案します。お気軽にご相談ください。

・特定小電力トランシーバー(通信距離:見通し~200m)
特定小電力トランシーバーは、通信距離こそ短いものの最も手軽に使える無線機です。レストランや商業施設でスタッフ間通信に多く用いられているのがこのタイプで、小型で軽く、身に着けていても目立たないのも特徴です。

飲食店
美術館・博物館
商業施設
映画館

・簡易無線機(通信距離:見通し~5km)
業務無線機とも呼ばれています。業務用で用いられる簡易無線機は、最も広く普及した無線機・トランシーバーのひとつです。通信範囲が広いのでビルの警備や工事現場、駅構内、大きなスタジアムでの使用にも対応できます。
業務無線機は免許局と登録局があり、利用するためには総務省への届け出が必要となります。詳しくは「簡易無線機の免許局と登録局とは」をご覧ください。
登録局はレンタルでも多く使われており、イベントや展示会、スポーツ大会などで、主催組織の方からボランティアの方まで、大勢で使用される事も珍しくありません。

警備
工事現場
イベント運営・展示会
ホテル・宿泊施設

・IP無線機(通信距離:~日本全国)
IP無線機は今まさに広まりつつある、新しい無線機です。携帯電話網を利用して通信を行うため、日本全国どことでも、携帯の電波が繋がる場所同士なら距離は関係なく通信できます。
広範囲をカバーする大規模なマラソン大会やトラック・バス・タクシー等車両での利用のほか、高層ビルの最上階と地下、巨大な冷凍倉庫、防火扉が何枚もあるホテルなど、簡易無線機が苦手とする環境の中でも電波対策がされていれば通信可能です。

かすみがうらマラソン兼国際ブラインドマラソン様 導入事例 無線機 トランシーバー レンタル
スポーツ大会
幼稚園・保育園
イベント運営
店舗
トランシーバー
比較表
ip500h
IP無線機
(IPトランシーバー)
mit5000
業務用簡易無線局
(免許局)
sr741
業務用簡易無線局
(登録局)

特定小電力
トランシーバー
チャンネル数任意(お客様のご指定数)65ch30ch20ch
通信距離全国と通信可能1~3km1~3km100~300m
送信出力携帯電波を利用5W5W10mW
キャリアセンスなしなしありなし
無線従事者資格不要不要不要不要
免許申請不要必要必要(包括免許)不要
電波利用料通信費(約2,000円前後)400円400円不要
※モバイル版は左へスクロール

実際に多くの企業・団体様にご導入いただいています。詳しい活用方法は導入事例をご覧ください。

簡易無線機の免許局と登録局とは

簡易無線機は種別によって免許の種類が変わります。免許局と登録局の二種類あります。ここではその違いや特性について解説します。

免許局とは

免許局とは会社や機関などの団体が利用する事を目的とした無線機です。その名の通り利用する前に免許の申請が必要で、無線機1台1台にそれぞれ免許が必要です。企業・団体での使用を目的としているため、免許を取得している企業・団体へ所属していない人が無線機を使うのは違法です。レンタルもできません。

免許局は登録局に比べて使えるチャンネル数が多く、混信しにくい無線機です。通信の質の高さは日々の業務を行うと言えるでしょう。

登録局とは

登録局は、利用の際に登録申請と開設届が必要ではあるものの、免許は不要なのでより手軽に利用できる無線機です。また、無線機が登録されていれば申請した本人・団体以外の人でも利用できるので、レンタルでの利用も可能です。

登録局は免許局と比べて手軽に利用できますが、チャンネル数は免許局より少なく、混信しやすいという特徴があります。

免許局登録局
用途業務利用のみ
企業、機関など団体向け
業務利用以外
レジャーなど個人使用も可
免許の有無必要不要
レンタルの可否不可
周波数UHF/アナログ465MHz帯など
VHF/デジタル154MHz帯など
351MHz帯
チャンネル数65ch30ch
通信方式デジタル
アナログ
デジタル
キャリアセンスなしあり
不特定多数との通信不可

業務用無線機は総務省への利用申請や届出が必要ですが、特定小電力トランシーバーとIP無線機などの電波が微弱(出力が1W以下)な無線機であれば、届け出は不要です。

また、登録局・特定小電力トランシーバー・IP無線機をレンタルする場合も、免許の申請手続きは必要ありません。ご購入時に申請が必要な際は詳しい免許申請の手続きや必要書類、電波利用料については、別ページで詳しく解説しています。

無線機の”デジタル”と”アナログ”とは

無線機・トランシーバーは、デジタル方式とアナログ方式の2つの主要な通信方式で機能していましたが、アナログ方式の簡易無線局は2024年11月30日までが使用期限となりました。

デジタル方式とは

デジタル方式の無線機は、デジタル音声通信やデータ通信に広く使用されています。例えば、デジタル無線機は、クリアでノイズの少ない音声通信を提供し、データの高速伝送や暗号化などのセキュリティ機能を備えています。デジタル方式の無線機は、コンピュータネットワークやインターネットとの連携も容易に行えるため、デジタルデータの送受信に適しています。

アナログ方式とは

アナログ方式の無線機は、音声やデータを連続的な波として送信します。これは、古くから使われている方式で、人間の声や音楽などの音を直接的に伝えるのに適しています。アナログ信号は、連続的な振動の波形として表現され、送信される信号の特徴が波形の形状によって変化します。
アナログ方式は、自然な音声や音楽の再現に優れているため、ラジオやアナログテレビ、アナログ電話などで広く使用されてきましたが、総務省指導による2024年11月の簡易無線のデジタル化に伴い、アナログの簡易無線機は運用できなくなるため、デジタルに対応した簡易無線機への入れ替えが必要となります。

アナログ方式の無線機をご利用中の方は買い替えが必要な場合も

総務省指導による2024年11月の簡易無線のデジタル化に伴い、アナログ方式の簡易無線機(350MHz帯及び400MHz帯)は運用できなくなるため、デジタル方式に対応した簡易無線機への入れ替えが必要となります。
多くのユーザー様が同時期に機器の入れ替えを行うことが予想されるので、免許の更新や機器の発注に時間を要する確率が高くなります。そのためSTJレンテックでは2023年夏頃~2024年3月頃を機器の入れ替えを行うおすすめの交換時期としてご案内しています。
また、電波法改正をきっかけにご購入からレンタルへ切り替えるお客様もいらっしゃいます。どちらが今後の利用に合っているのかお困りのお客様も、ぜひSTJレンテックへご相談ください。