デジタル簡易無線・業務用トランシーバーの増波【理由と解説】
簡易無線の増波で利用できるチャンネルが増える!
本記事では令和5年度(2023年)に改正されたデジタル簡易無線局の増波(利用可能なチャンネルの増加)について解説しています。
増波の目的は、場所や時間により電波が混雑して使いにくかった部分を解消するためです。増波した簡易無線を使用する際の注意事項なども併せて解説します。

目次
従来のデジタル簡易無線のチャンネル数が増加します!
現在デジタル簡易無線機として運用されている簡易無線(免許局・登録局)の使用可能な周波数帯(チャンネル数)が増えると、2023年6月1日より総務省から発表されました。
これにより免許局が65chから75chに、登録局は30chから82chまで増加することになります。
| 種別 | 従来のch数 | 今後のch数 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 免許局 | 65ch | 75ch | |
| 免許局(中継用) | 無し | 20ch(実質10ch) | 2つのchで1セット |
| 登録局 | 30ch | 82ch | |
| 登録局(上空用) | 5ch | 15ch |
増波によってチャンネルが増え、混信などのデメリットが解消!

なぜ ”増波”?
デジタル簡易無線局の増波の目的は利用者の増加に対応し、円滑な通信を確保しやすくすることです。
そもそも無線機は同じ周波数(チャンネル)を設定している無線機同士が通信出来る仕組みですが、利用者が増えるにつれ、同じ場所、同じ時間に同じ周波数を利用している人数も必然的に増え、電波が混信して通信出来ないという現象が年々増えていました。

近年のデジタル簡易無線機の利用者増加の影響を特に受けていたのは都市部やイベント会場などでのチャンネル不足や通信の混信問題です。
簡易無線局の登録制度が2009年に制度化されて以降、簡易無線登録局の数は年々増加し、2016年~2022年までの6年間で登録局の台数が約2倍まで増加しました。(2016年総務省発表の登録局総台数は約38万台、2022年の登録局総台数は78万台)今後もその勢いは止まらず、2026年には105万局に達すると予測されています。
これは、登録局が企業・団体以外の利用者も登録申請が出来ることや、免許局に比べて登録局は免許の取得ではなく登録申請とハードルが低く簡単に利用できることに加え、低価格で使い勝手がよいことなどが要因と考えられています。
現在も利用周波数(チャンネル数)が不足している背景に加え、今後も利用者の増加が予測されるため、増波により利用可能なチャンネル数を増やし、より安定した通信を可能にするべくこの度改正されました。
そもそも、増波された無線機の「免許局」や「登録局」とは?
無線機・トランシーバーは免許や登録の必要なものと、購入後すぐに誰でも利用できるものに大まかに分類されます。免許局と登録局はその名前の通り、総務省へ免許または登録状の申請を行い、認可後に利用が可能となる無線機です。
免許局について
免許局とは、法人や管理組合等で業務やBCP目的で主に使用されている無線機で、企業・団体が利用することのできる無線機のことです。個人での所有は出来ません。免許申請時に記載した企業・団体の専用無線機となるため、他の法人や団体の方が使用した場合、電波法違反となります。
STJレンテックでの免許局のレンタルは、利用する無線機の免許をお客様の名義で事前に取得していただく必要があります。その際は弊社がサポートいたしますのでご安心ください。
免許局を使用するには、総務省に免許申請し免許状を取得する必要があります。免許状の取得には、無線設備の技術基準適合証明、無線局免許申請書などの準備が必要です。登録状とは異なり、無線機一台に一枚免許状があるイメージです。
免許局の増波について
免許局の無線機は65chから75chに増加しました。それに加えて中継用chが20ch(2chで1セットのため、実数は10ch)増加したので、増波により無線機の活用の幅が広がりました。
これらの影響により、中継システムを導入頂く事で今まで以上の通信エリアを確保することが出来るため、不感地帯の解消や、通信音質の改善が可能になることが考えられます。
※本記載の中継システムの導入には新周波数対応の携帯機が必須となります。

| 無線機の種類 | 周波数 |
|---|---|
| 従来の周波数(画像内の黄) | 467MHz~467.4MHz 地上用65ch |
| 新周波数(画像内の緑) | 465.034375MHz~465.153125MHz 中継用10ch+地上用10ch |
| 新周波数(画像内の赤) | 467.546875MHz~467.853125MHzのうち、中継用10ch |
登録局について
登録局とは、業務やBCP以外にもレジャーでの使用も認められている無線機で、個人での所有も可能な無線機です。登録局はレンタルが可能な機器なので、登録状に記載されている名義以外の人でも利用可能です。
免許局と同様に法人や管理組合で主に使用されていますが、趣味や娯楽などで気軽に利用されている無線機の一つです。
登録局を利用する際、免許は不要ですが総務省から登録状を取得する必要があります。免許状とは異なり、登録状に紐づけて無線機の登録処理を行うため、増設申請をしても書類は最初の一枚で済みます。簡単な登録手続きでご利用が可能です。
登録局の増波について
登録局無線機は30chから82chと飛躍的にチャンネル数が増加しました。この背景には、2016年から2022年末までの6年間で登録局の台数が2倍近くまで増えた事が考えられます。(2016年総務省発表の登録局総台数は約38万台、2022年の登録局総台数は78万台と2倍強増加)
また、登録局はレンタルも可能なため、現在では都心部や海岸付近等の見通しの良い場所では、混信(キャリアセンス)による通信不可のリスクが通常より高かったのですが、今回のch数増加の影響で混信のリスクは軽減されることが考えられます。
また、登録局を現在もご利用中で既に登録状を持っている方が新周波数を利用したい場合は、変更申請が必要です。(従来の登録局の申請では30ch分の申請しか行っていないため)

| 対象 | 周波数 |
|---|---|
| 従来の周波数(画像内の黄) | 351.16875MHz~351.38125MHz 地上用30ch+空中用5ch |
| 新周波数(画像内の緑) | 351.03125MHz~351.16250MHz 地上用12ch+空中用10ch |
| 新周波数(画像内の赤色) | 351.3875MHz~351.63125MHz 地上用40ch |
| 空中用無線機 | 351.03125MHz~351.09375MHz 351.16875MHz~351.19375MHz |
増波の際のお手続きについて
お手持ちの無線機をそのまま使い続けるのであれば、新たにお手続きは必要ありません。
今回発表された新しい周波数(新チャンネル)を利用したいとお考えの方は変更申請を行わなければご利用いただけません。発行された登録状には申請時に利用する周波数(旧周波数のみ)が記載してあるため、新周波数も利用することを総務省へ申請する必要があります。
また、ご利用中の無線機で新周波数をご利用いただくためには、まず現在お持ちの無線機が新周波数に対応しているかをご確認ください。対応していない無線機ではご利用いただけないため、新周波数に対応している無線機をご用意いただく必要があります。
STJレンテックでは無線機の免許状・登録状の申請代行も行っています。プロフェッショナルなスタッフがサポートしますので、お気軽にご相談ください。
各メーカー増波対応機種一覧(2023年11月1日現在)
法令改定に伴い、各業務用無線機メーカから対応内容が届いております。
まとめ
今回の増波で今まで通信の不感地帯の改善が難しかった物件や、スキー場などの地域、キャリアセンスによる送信不可の可能性が軽減されたことにより簡易無線機の可能性は大きく増加しました。
また、令和8年頃を目途に更に使用可能チャンネルが増加するかもしれないといった話も出てきています。
| 対象局 | これまで | これから | |
|---|---|---|---|
| 登録局 350MHz帯/最大5W (上空利用は最大1W) | 地上専用 | 30ch | 82ch |
| 上空利用 (地上可) | 5ch | 15ch | |
| 免許局 460MHz帯/最大5W | 地上専用 | 65ch | 75ch |
| 中継利用 | なし | 20ch (10ペア) | |
STJレンテックはお客様のニーズに沿ったご提案を致します。
もし不感地帯やキャリアセンスによる無線機の通信不安定にお悩みの方は是非STJレンテックにお問い合わせください。経験豊富な営業による現地調査や、最適な機器提案をお約束させて頂きます。お電話またはお問い合わせフォームより、お気軽にお申し付けください!


