MCA無線とは?特徴や仕組み、メリットと注意点、サービス終了について解説

MCA無線は、日本全国で安定した通話が可能な通信インフラで、防災やインフラ整備などBCP対策に欠かせない業務用通信システムとして活躍してきました。しかし現在、サービス終了に向かっており、企業や自治体にとっては代替手段の検討が急務となっています。

本記事では、MCA無線の特徴や仕組みメリットと注意点、そしてサービス終了に向けた対応策を詳しく解説します。

無線機・トランシーバー・インカムの基礎知識

MCA無線とは?

MCA無線は、「Multi Channel Access無線」の略称で、800MHz帯の電波を利用した、複数の周波数チャンネルを効率的に共有しながら通信を行う一般業務用無線システムです。

MCA無線は、災害などで一般の通信回線が混雑し利用難しい場面でも、専用の業務用周波数帯を使って通信が可能です。特に、地震・台風・洪水など停電を伴う自然災害が頻発する日本では、主に防災、建設、交通インフラ、警備、行政機関など、安定した音声通信が求められる現場で活用されてきました。

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MCA無線の開発背景

MCA無線の開発は1980年代に遡り、当時のアナログ無線では対応しきれなかった「多拠点・多人数間の安定通信ニーズ」に応えるために設計されました。日本では、全国移動通信システム株式会社(MCAT)などの事業者によって全国規模のネットワークインフラが整備され、専用の制御局と基地局を用いた通信システムが展開されました。

MCA無線の特徴

MCA無線システムの最大の特徴は、複数のユーザーが自動的に空いているチャンネルを割り当てられることで、混信やチャンネル不足を避けられます。また、同報通信(1対多数)やグループ通話にも強く、指揮命令系統を重視する防災無線や現場連絡に最適です。

特に、災害発生時には携帯電話回線が混雑しやすくなる中で、MCA無線は独自の専用周波数帯域とインフラを使うことで、確実に通信を維持する防災ツールとしても高く評価されてきました。総務省による防災行政無線整備計画の一環として導入された自治体も多く、全国で数千局の導入実績があります。

しかし、通信技術の進化とインフラ維持コストの増大、そしてユーザーの減少といった課題もあり、近年ではサービス終了が発表され、今後の代替通信手段への移行が求められています。

次世代MCAアドバンスとは?

MCAアドバンス ロゴ

MCA無線の進化形として登場したのが「MCAアドバンス」です。

従来のMCA無線がアナログ方式または限定的なデジタル化にとどまっていたのに対し、MCAアドバンスはIPネットワークと融合した高機能なデジタル無線システムです。全国移動通信システム株式会社(MCAT)が提供しており、通信品質・エリア・機能性の向上が図られています。

最大の特徴は、携帯電話回線(LTE)を利用しつつ、従来のMCA無線のようなグループ通話や一斉通話機能を維持している点です。さらに、GPS機能や録音・通話履歴、端末の位置情報管理、PC連携による一元監視など、クラウド時代に対応した管理機能を搭載しています。これにより、災害対応・物流・建設などの現場において「リアルタイムで状況を把握しながら的確な指示を行う」ことが可能になっています。

MCAアドバンス 共同利用型 自営無線システム

MCA無線の仕組み

MCA無線は、制御局と多数の移動局が無線回線を共有するシステムです。制御局が通信チャネルを効率的に割り当てることで、多数の利用者がスムーズに音声やデータ通信を行えます。さらに、全国移動通信システムとも連携することで、広範囲な通信を可能にしています。これらの要素がMCA無線の仕組みを支えています。

制御局と移動局による通信

MCA無線は、制御局と移動局による通信方式です。この仕組みは、MCA無線が多数の利用者による同時通信を安定して実現できる最大のポイントでもあります。

制御局は各エリアに設置された固定の中継装置であり、通信における「ハブ」のような役割を果たします。一方、移動局は実際に利用者が手にする無線機(端末)です。利用者が送信ボタンを押すと、まず制御局に空きチャンネルの割り当てをリクエストします。そして制御局が空いている周波数チャンネルを検出し、リアルタイムで最適なチャンネルを移動局に自動で割り当てる仕組みです。

この動的なチャンネル割り当てにより、混信や通話競合を回避し、安定した音声通信を複数のグループ間で同時に実現できるのが、MCA無線の強みです。また、通話終了後はチャンネルが解放され、他の通信グループがそのチャンネルを再利用できるため、無線資源の効率的な運用が可能です。

MCA無線 基地局 イメージ

音声・データ通信の流れ

MCA無線における通信の流れは、利用者の操作から通信完了までがシンプルでありながら、高い信頼性を誇ります。特に、音声通信を主軸としながらも、位置情報送信といった補助的な通信機能も備えている点が特徴です。

利用者が無線機の送信ボタン(PTTスイッチ)を押すと、端末は近隣の制御局に「通話要求信号」を自動送信します。制御局は空きチャンネルを確認し、割り当てを行ったうえで、相手側の端末に「受信準備完了」の信号を送信。その後、発信者の音声がリアルタイムで相手の端末に伝わる流れとなります。

全国移動通信システムとの関係

MCA無線は、単なる地域限定の通信手段ではなく、日本全国をカバーする「全国移動通信システム」の一環として運用されてきました。この広域通信ネットワークを構築・維持してきたのが、全国移動通信システム株式会社(通称:MCAT)です。

MCATは、全国をブロックごとに分け、主要都市およびその周辺に制御局・中継局を整備。これにより、各エリアに設置されたMCA無線端末同士を相互接続し、全国規模での通話・一斉連絡・位置情報の共有が可能なインフラを実現してきました。

MCA無線のメリット

MCA無線は、災害に強い通信インフラ、日本全国での安定した通話、そして同報通信やグループ通話の利便性といった多くのメリットがあります。これらの特徴により、MCA無線は様々なビジネスシーンや公共サービスにおいて、信頼性の高い通信手段として活用されています。

三つ

災害に強い通信インフラであることは、MCA無線の大きなメリットです。

その理由は、MCA無線が自営の通信システムであり、災害時にも通信を維持しやすい特性を持っているからです。一般的な携帯電話回線は、災害時に基地局が被災したり、アクセスが集中したりすることで通信が困難になる場合があります。しかし、MCA無線は、自営の設備で運用されるため、比較的に災害の影響を受けにくいのです。

MCA無線のメリットとして、日本全国での安定した通話が挙げられます。

MCA無線は、日本全国で均一な通信品質を保てるよう設計された広域・多地点型の業務用通信インフラです。これは、都市部だけでなく山間部や離島など、一般の携帯電話回線が不安定になりがちなエリアにおいても、一定の通話品質を維持する目的で構築されてきました。

この通信安定性は、各エリアに整備された制御局と基地局によって支えられています。全国移動通信システム(MCAT)のネットワークを活用することで、全国どこにいても、事業所や本部とスムーズに通信を行える体制が整っていたのです。

同報通信やグループ通話は、MCA無線の大きな利点です。

同報通信とは、1つの発信操作で、あらかじめ登録された複数の端末へ一斉に音声を送信できる機能であり、緊急時の指令・周知、災害対策本部からの情報発信などで威力を発揮します。グループ通話では、部門・班・現場ごとに分けたグループ単位での通話が可能で、指揮命令系統に沿った明確なコミュニケーションを実現できます。

MCA無線導入の注意点

MCA無線は業務効率化に役立つ一方、注意点も存在します。下記のことを踏まえ、導入を検討する必要があります。

リスク

MCA無線の導入において多くの企業・自治体が注目するのが、月額利用料金や導入コストです。MCA無線は公的なインフラに近い存在である一方、完全に無料で使えるものではなく、一定の費用負担が求められます。

MCA無線の導入には、初期費用とランニングコストが発生します。初期費用には、無線機の購入費用、基地局の設置費用、免許申請費用などが含まれます。ランニングコストとしては、毎月の電波利用料、保守費用、修理費用などが挙げられます。これらの費用を総合的に考えると、IP無線と比較して高額になる場合があります。

MCA無線は「全国移動通信システム」の名の通り、広範囲な通信エリアを誇りますが、利用可能エリアには制限が存在する点には注意が必要です。とくに、山間部や建物密集地、地下施設など、電波の到達性が物理的に制限される環境では、通信が不安定になる可能性があります。

MCA無線の通信は、各地域に設置された「制御局」からの電波を基点として成立しているため、制御局の設置されていないエリアや電波が届きにくい場所では、通話圏外となるリスクがあります。また、MCA端末が高所や屋内にある場合、障害物の影響で通話品質が低下することもあります。

MCA無線を利用するにあたっては、総務省が所管する「無線局免許」の取得が必須です。これは業務用無線機として周波数帯を専用で使用するために設けられた制度であり、無免許での運用は法的に禁止されています。そのため、初めて導入する際には、申請手続きや管理体制の整備が求められます。

手続きには通常数週間〜1か月以上を要するため、緊急導入には不向きであるという一面もあります。また、企業や自治体が複数の拠点でMCA無線を運用する場合、それぞれに免許申請が必要となり、申請事務が煩雑になるケースも見られました。

MCA無線のサービス終了について

MCA無線は、時代の変化とともに、より高度な通信技術へと移行するためサービスを終了することになりました。サービス終了により、影響を受ける利用者の方々には、代替手段への移行という課題が生じます。

サービス終了の背景

長年にわたり災害対策やインフラ現場を支えてきたMCA無線ですが、近年、サービス終了が正式に発表され、多くの利用者が代替通信手段の検討を迫られています。その背景には、複数の要因が重なっています。

まず大きな理由のひとつが、設備の老朽化と維持コストの増大です。MCA無線は1980年代から運用されてきた通信インフラであり、各地に設置された制御局や中継局の多くが老朽化しています。全国に分散したインフラを維持するには多額の費用が必要であり、限られた利用者数ではそのコストを賄うことが困難になりつつありました。

さらに、IP無線などの次世代通信手段の普及も大きく影響しています。近年では、携帯電話網を使ったIP無線が一般化し、導入が簡便かつ低コストであることから、多くの企業や自治体がMCA無線からの切り替えを進めたことにより、ユーザー数の減少が加速しました。

サービス終了のスケジュール

これらの要因を踏まえ、全国移動通信システム株式会社(MCAT)は、サービスの段階的縮小および停止を決定しました。

現在の情報では、一部のMCAサービスは2025年度末をもって終了予定とされており、それ以降は保守対応や端末サポートも順次終了する見込みです。最終的には、MCAアドバンスは2027年3月、800MHz帯デジタルMCAは2029年5月にサービスが完全終了する予定となります。

目的

影響を受ける利用者と課題点

MCA無線のサービス終了は、多くの業種・機関にとって重大な影響をもたらします。特に影響が大きいのは、防災通信・インフラ整備・建設現場・警備業・交通管理など、日常的に無線通信を業務の中核に据えている利用者です。

まず自治体においては、防災拠点と避難所間の連絡、災害発生時の本部との連携、消防・水道・下水道などのライフライン担当部署との音声通信が、MCA無線を通じて行われてきました。これらが突然使用できなくなれば、災害時の初動対応や住民保護に深刻な遅れが生じるリスクがあります。

また、建設業界では、高所作業や騒音下でも瞬時にやり取りが可能なMCA無線の「グループ通話」や「同報通信」機能が、安全管理や作業効率化に欠かせないインフラとして根付いていました。代替手段への移行に伴い、機器の再配備や運用ルールの見直し、スタッフ教育など新たな負担が生じます。

さらに、影響は一部のユーザーにとどまらず、全国で数万台規模で利用されてきた端末が一斉に代替されるため、通信事業者・端末メーカー・レンタル業者などにも波及します。供給不足や初期設定対応の混雑など、スムーズな切替を阻害する外部要因も想定されます。

MCA無線機の入替にお勧め機種

おすすめ!

IP無線機「IP510H」


IP510Hは、LTE回線と無線LAN環境下で通信可能なハイブリッドタイプ のIPトランシーバーです。LTE回線/無線LANを本体操作なしに自動で切り替えできるため、使用者が屋外/屋内に移動するときや、どちらかの回線が不感地帯であっても、通信が途切れることがなく、安心してご利用いただけます。。

まとめ:STJレンテックが対応策をご案内いたします。

MCA無線は、防災・建設・インフラ業務など多くの現場を支えてきた重要な通信インフラでしたが、いよいよサービス終了が現実のものとなっています。利用者にとっては、単なる通信手段の切り替えではなく、事業継続性や安全性に直結する重要な課題です。

STJレンテックでは、MCA無線に代わる通信手段として、IP無線・衛星無線など多様な選択肢をご用意しています。用途や運用環境に合わせた機種のご提案から、試験運用・導入支援・運用トレーニングまで、ワンストップでのサポートが可能です。

「どの通信手段を選べばよいかわからない」「切り替えの段取りを相談したい」という方は、ぜひお気軽にSTJレンテックへご相談ください。経験豊富な専門スタッフが最適なご提案をさせていただきます。

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