デジタル簡易“免許局”対応の中継器発売!使い方から使用例まで解説

この記事ではデジタル簡易免許局の中継器が発売された背景から、どのような使い方が出来るのか、実際どんなお悩みが解消されるのかをを無線業者が解説します。

実際の使用場所を想定した使用例を合わせてご紹介致しますので是非ご確認ください!

免許局の中継器とは?デジタル簡易免許局に対応!使い方から使用例まで解説

業界初 “免許局の中継器” とは?

2023年6月に電波法の改定により、総務省により制度化された「デジタル簡易無線免許局の中継用チャンネル(3D)」を使用した無線中継システムが新たに使用できるようになりました。

新しく発表されたデジタル簡易無線対応の免許局用中継器は中継専用機で、通信機能は搭載されていません。その代わり従来の中継器の代わりとして利用されていた中継システム付き免許局よりも手軽に設置出来るようになり、各無線機メーカーより続々発表されています。

今まで無かったデジタル簡易無線免許局の中継専用機が各社より発表されたことや、従来の中継システム付き無線機と比べ、建物工事が出来ない物件等でも使用できる利便性が今話題になっています。

電波法改正について詳しく確認したい方は別途解説コラムをご覧ください。

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そもそも中継器とはどんなことが出来るの?

中継器とは、言葉通りに中継地点の役割を果たしてくれるものです。一言で言えば、”通信距離を広げてくれる役割を担っている機器”です。

中継器は距離や建物の構造の関係で通信が出来ない場合に用いられています。いわゆる橋渡し役なので、中継器単体では通信出来ません。中継器は、中継器設置地点を中心として、中継器と通信が出来る範囲を通信できるようにしてくれるものです。

お客様からよくお話を頂くのが、高層階の建物で一部通信が届かないので通信エリアを広げたいというご要望です。既に特定小電力トランシーバーを使用しているお客様の場合、その際は中継器対応の特定小電力トランシーバーと特定小電力用の中継器を使用して通信を行います。
中継器は、最大値として中継器を中心とした通信可能エリアの対角線上でも通信が出来るため、実質2倍近くに通信範囲を広げてくれます。

中継器の仕組みは無線機やトランシーバーとは少し異なり「無線機から発信された電波を受信し、内容は同じですが異なる電波で送信する」というものです。異なる電波で送信する理由は、無線機やトランシーバーと同一の周波数で送受信を行うと電波が干渉してしまい、上手く通信が出来なくなってしまう事があるからです。

この”上手く通信が出来ない事象”を避けるために、中継器から発信する電波は、送受信している無線機やトランシーバーとは異なる電波にする必要があります。

中継器を購入する際に気を付けること

中継器は無線機やトランシーバーと同じく電波を利用しているため、種類ごとに専用の中継器があります。免許局の無線機を持っている場合は免許局専用の中継器が必要ということです。免許局を持っているのに特定小電力トランシーバーの中継器を購入しても、お互いに電波が違うので送受信することは出来ません。

無線機の送受信の仕組みってなに?いろんな種類があるの?という方は、別途解説ページがあるので、まずはそちらをご覧ください。

無線機/トランシーバーとは

通信距離、主な利用シーン、免許局と登録局の違い、デジタルとアナログの解説など、無線機・トランシーバーの基礎を解説します。

“免許局の中継器”が注目されているのはなぜ?

冒頭でも紹介しましたが、2023年6月に電波法の改定により、総務省により制度化された「デジタル簡易無線免許局の中継用チャンネル(3D)」を使用した無線中継システムが新たに使用できるようになりました。

今までデジタル簡易無線免許局は中継用のチャンネルが無かったため、長らく中継器が無い状態で運用されていました。建物が密集していたり地形により電波が届かないエリアでは、人を間に挟んで中継役を置き、人力で中継を行ったり、車載機と呼ばれる事務所や車に装着する設置型の無線機をLANケーブルなどで繋いで中継器のような役割を持たせたりと通信を行うまでにいろんな制約や手間がある状態でした。

そこで登場したデジタル簡易無線免許局用の中継器に、今までよりも利便性が高まるのではないかと注目が集まっています。

従来の「中継システム付き無線機」と「中継器」の違い

中継システム付き無線機の場合

従来デジタル簡易無線免許局の中継器と呼ばれていたのは、無線機自体に中継機能を持たせた”中継システム付き無線機”でした。

通信も中継も出来るのであれば便利だとも思えますが、この中継システム付き無線機を利用する際は既存のチャンネルを2個使う必要がありました。

他にも通信範囲内を移動する場合はチャンネル自動切り替え機能が無ければ場所に合わせて手元の無線機のチャンネルを手動で変更する必要があり、さらに中継用の無線機をLANケーブルでつなぐ必要もあったので工事や既設LANへの確認が必要であったりなど……。既存の物件に組み込むには中々ハードルが高い構成になっていました。

中継器の場合

しかしながら電波法改定により、新たに中継用の周波数が許可されるようになった結果、中継器の利用が可能となりました。

中継器は通信機能が搭載されていないため中継器を利用して発信することは出来ませんが、電源につなぐだけで稼働できるので中継システム付き無線機よりもはるかに簡単に設置することが可能です。

また、元々中継用のチャンネルが設定されているため、煩わしかった各無線機のチャンネル変更は不要となり、中継器単体で動くので工事やLAN系統への確認も不要と、導入のハードルが非常に下がりました。

免許局の中継器を利用してどんなことが出来るのか

免許局の中継器では、中継器設置地点を中心として、中継器と通信が出来る範囲を通信できるようにしてくれます。最大値として中継器を中心とした通信可能エリアの対角線上でも通信が出来るため、元の通信範囲と比べて実質2倍近くまでエリアを広げてくれます。そのため、多くの現場や施設で中継役の方を置いて運用しているような人がいて通信を中継しているような場所では中継者が不要になります。

また、便利になるのはもちろんですが注意しなければいけない点もあります。中継器を利用した通信を行う場合、送信側と受信側の両方が中継器を中心とした通信範囲内に入っていなければ通信出来ません。何故通信出来ないのかは以下で解説しています。

どうして中継器の通信範囲外で通信が出来なくなるのか

中継器を使用する場合、中継器用のチャンネルを使用する事になりますが、そのチャンネルは送信する周波数と受信する周波数が異なるように設定されています。
具体的にどういうことなのか?と思われるでしょう。以下で例を挙げて説明します。

  • 中継用のチャンネルは送信波と受信波の周波数がセットになって1チャンネルです。
  • 中継器は、A無線機からの送信波を中継器の受信波で受信して、自動で中継器の送信波に切替て送信後にB無線機の受信波で受信して通信が可能になります。
  • 上記のルールで通信出来ている為、中継器に電波届かないもしくは中継器からの電波の届かない場所では、中継通信が出来ないのです。

中継器を中心とした通信範囲内に送信側、受信側が両方とも入っていれば通信可能です。

中継器を中心とした通信範囲に片方だけ入っている場合、通信は出来ません。

中継器を中心とした通信範囲内に送信側、受信側が両方とも入っていない場合、通信は出来ません。

中継用も普通のチャンネルと同じように送信も受信も同じ周波数で良いじゃないか、と思うかもしれません。これには明確な理由があり、同じ周波数で送信と受信を同時に行うと電波干渉が発生して音声が何も聞こえなくなってしまいます。それでは本末転倒なので電波干渉を避けるため、送信と受信の周波数は変えざるを得ないのです。

現在のお困りごとを免許局の中継器で解消出来ます

私どもが営業活動をしているとよく、「使用場所が広く、通信が届かないため、人を中間地点に配備して業務を遂行している」というお言葉をお客様より聞く事があります。今回、免許局の中継器があれば中間地点に配備している人が不要になりますので、業務効率や無駄な作業の削減にも繋がります。

中継器を設置するとどのような事が出来るのか、図も交えていくつか例をご紹介します。

人を介した通信から自動中継へ変更し、安全を確保

変更前

変更後

まずは工場で免許局無線機をご利用中のお客様を例に紹介します。こちらの工場では各工場と事務所に免許局の無線機を配備していました。無線機の利用用途は緊急連絡を迅速にとることと、災害時の避難誘導のためです。しかし事務所と一部工場(図ではC工場)の間で通信が出来ず、人を介して通信を行い、伝言してもらっていました。

従来であればB工場にいる方が通信を中継する必要がありましたが、B工場へ中継器を設置することで、人を挟むことなく全ての工場と事務所への正確な情報伝達が可能に。伝達していた人の中継が不要になりますので、業務の改善にも繋がりました。

人を介した不安定な通信から安定した自動通信へ変更し、業務効率化

変更前

変更後

次にビル管理、及び警備にて免許局無線機をご利用中のお客様を例に紹介します。こちらのお客様は地下1階と地上12階まである物件にてビルの管理や鍵の開錠を防災センターに依頼する際、屋上階から防災センターへの通信が届かず、途中階にいる人に中継役をお願いしていました。

上下階の通信だとしても、中間地点に中継器を設置することで通信を円滑にすることが可能です。中継器を導入することで人に左右されず、安定して通信を行うことが出来るようになりました。中継者がお客様対応等で通信が出来ない、といったことも無いため、無線機使用者が常に円滑な業務を遂行する事が出来ます。
また、設置場所にもよりますが、従来のエリア拡張に付きものだった設置工事も、免許局の中継器は不要となりました。

各メーカーの無線中継システム3選

KENWOOD製無線中継システム:TCB-D239CR

JVCケンウッドのデジタル簡易無線中継システムNEXEDGE® CRを導入した中継器になっており、デジタル簡易無線中継器のIP接続で更に通話エリアを広げることができます。
※NEXEDGE® CRとは…総務省により2023年に制度化されたデジタル簡易無線免許局の中継用チャンネル(3D)を利用したJVCケンウッドのデジタル簡易無線中継システムの総称です。

ICOM製無線中継システム:IC-RP6300CR

アンテナ1本でシステム構築ができるデュプレクサが付属しており設置も安易に行えます。
外付けのアッテネーターの接続にも対応しているため受信感度をコントロールすることにより、混信に強い快適な通信環境を構築することができます。

八重洲無線製中継システム:EXR-7000CR

デュプレクサ―内臓設計により、外部デュプレクサ―を使用する際に生じるパワーロスが発生しないため安定して5Wの中継器運用ができる高出力設計。
大容量AC電源内臓によるバックアップDC電源を完備しているため、別途で電源を購入いただく必要はございません。

よくある質問


免許局の中継器は免許局の無線機や従来の中継システム付き無線機とは多少仕様が異なるため、免許申請が不安だという方はSTJレンテックにお任せください。機器の購入から免許申請の代行まで承ります。お気軽にご相談ください。


ご利用している無線機の種類が原因で通信距離が足りていないのか、お客様のご利用環境によって電波が上手く伝わっていないのかなど、今現在の無線機やトランシーバーが上手くつながらない原因は多岐にわたります。なのでまずは今現在のご利用状況のヒアリングし、無線機のプロSTJレンテックがお客様に適したご利用プランをご提案致します。


お見積りやご相談に関しては、もちろん無料でご対応可能です。今現在の課題やお悩みも併せてお伝えいただけますと、お客様に最適なプランを無線機のプロSTJレンテックがご提案致します。

※免許局は登録局と異なり、企業・団体様専用の業務用無線機です。個人所有に関するご相談はお答えできかねます。

まとめ

今回はデジタル簡易無線免許局の中継器について解説しました。
2023年の電波法改正により、デジタル簡易無線の免許局においても中継器の利用が可能となり、通信範囲拡大が期待されています。これにより、建設現場や大規模イベント、災害時の緊急連絡手段としての活用がさらに広がるでしょう。
中継器の導入により従来のハンディ型無線機ではカバーできなかった広範囲な通信が可能となるため、業務の効率化や安全性も向上すると考えられています。

注意すべき最大のポイントは免許局の中継器を利用するには事前に免許を取得する必要があることです。適切な手続きや運用ルールに則って利用する必要があるため、専門知識を持ったスタッフや業者のサポートが重要となるでしょう。
また、中継器の設置環境や設定次第で通信性能も変わるため、導入前は事前にご相談することをおすすめします。

現在、建物の構造上仕方がないなどで諦めていませんか?STJレンテックでは多くのお客様のお悩みや業務の改善を無線機を通してサポートしております。
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